環境就職がわかる!・連載よみもの えこわーくトリビア〜素晴らしき環境就職〜第7回:「女性環境起業家にインタビュー」
執筆:エコ・リーグ キャリアサポート部長 小林功英 本コーナーでは、いくつかの環境の仕事を紹介してきた。今回は「環境を仕事にする」にあたり、重要なワークスタイルの1つである「起業」について取り上げてみる。このたびは、特に消費者サイドの環境市場の成長を促すために、独自の切り口でビジネスモデルを展開する女性起業家、鈴木敦子さんにインタビューを行った。鈴木さんは、会社(株式会社環境ビジネスエージェンシー)とNPO(NPO法人環境リレーションズ研究所)を別に立ち上げ、ビジネスサイド、消費者サイド双方の代理人(エージェント)として、様々な仕掛けを作る。NPOは、果たして食べていけるのか?と悩んでいる学生諸君も必読である。
――鈴木さんのお仕事は、誰に何をしているのでしょうか。
環境ビジネスは余りにも幅広い概念である為、新規に立ち上げたり、更に発展させるときには、絶対に足りない「経営資源」が出てきます。株式会社「環境ビジネスエージェンシー(以下、EBA)」では、それらを調達することが仕事です。別な言い方をすると、環境で利益をもくろむ人たちに対して、その利益を最大化するために、必ず不足するものが出てくる。その不足するモノを補う、文字通り「環境ビジネスの代理人(エージェント)」のサービスです。
エージェントと言っても色々なサービスを行っていますが、事例として一つの業務サイクルを説明しますと、環境浄化会社のマーケティングリサーチなどは、まずは当然ながら営業を行います。そこから、引き合いがあり、契約、実際にリサーチを行って、分析・解析したレポートを出す。納品して、検収を受けて、合格すれば1つの仕事が終わります。
――仕事の中で、鈴木さん自身の「強み」は何でしょうか。 「環境」に「広報戦略」や「マーケティング」を組み合わせることです。従来型の環境事業者においては、通常企業が営業やマーケティングの一貫として取り組むようなプロセスを踏んでいないことが多いのです。法規制主導で受身の事業構築をしてきてしまっているからでしょう。だから良い技術や商品も「売れない」といって悩んでいる。他の業界なら当たり前のようにやられていることを、それが苦手な環境業界でやってみようと思ったことが合っていたのかなと思います。他の業界では当たり前、ということが出来ていないから、成り立ってしまう。
別な言葉で言えば、組み合わせって「仕掛け」なのですよ。そこに深い立派なものがあるのではなくて、単純な「仕掛け」だと思っています。自分の強みは「仕掛力」なのかなと。
――鈴木さんはNPOも運営されていますね。 NPO法人の「環境リレーションズ研究所(以下、Er)」では、主に消費者向けに情報提供を行っています。
基本的にはたいていの消費者は、まだ環境に興味がないでしょ。到底、植林などエコアクションに参加しないし、気付かないし、どこに行けば出来るかも知らない。中小企業なども環境対策などどうでもいいと思っているけど、そういう人たちが最初の一歩のエコアクションを起すために、もっと簡単に自社の環境状態が分かるような情報を提供してあげたり、もっと気軽に簡単に参加できるようにする仕組みや仕掛を作る必要があります。
こうした情報提供などを進めていくと、環境ビジネスが育つ。だから、Erは「消費者のエコアクションの代理人」。 株式会社とNPOは、そのままビジネス側の代理人とアクション(市場)側の代理人の機能を果たしています。
 鈴木敦子氏
――Erはどうやって収入を得ていますか。 消費者のニーズ調査などですね。企業が環境に取り組んだことの評価を受けるためには、評価する側(消費者側)の感度というか意識が高くないとダメですよね。しかし、消費者側の意識はまだまだ低い。だから、企業は環境の取り組みの評価を上げる為に、お金を出して調査をしている。Erは、ヒアリングなどをして調査の代行をしているのです。
――NPOでも食べていけますか? NPOでも、仕掛を考えれば、食べていけます。ターゲット、見せ方、出し方、タイミングの取り方をきっちりと決める。それなら売れるものは売れる。興味をくすぐるような形でお金の流れを作ってあげることです。
――EBAでの新規採用の予定はありますか? とにかく時間がないので、新卒は雇いません。ただ、個人として若手を育てて行きたい気持ちがあるので、インターンシップは受け入れています。現在も募集中です。
――インターンシップを受けた場合の「一人前」とは何でしょう。 事業の全体像をしっかり話せるようになること。プレゼン力も必要ですが、自社や事業の全体像を見渡した上で、公的な場で担当する事業をしっかり語れるようになる。3年くらいはフォローするから、4年目は全体像を見渡して、全景を語れるようになってほしいですね。公的な審議会などでもしっかり語れるとか。
――お仕事の具体的な内容についてお伺いします。まずは、忙しい作業を順番にあげるとすると何でしょうか。 コミュニケーションをとっている時間です。打ち合わせ、面談、メール、電話などです。月に累計で60、70人と会っていますね。人と会うのが仕事ですから、一日に3人は会っています。メールだけでも1日に300通くらいあるので、大変。
二番目は、パワーポイントやワード、エクセルを使って企画書や提案書を作成しています。三番目には、レポートを書いている時間。あとは、情報収集・リサーチしている時間ですね。
最近は、講演などの準備にも時間を取られています。 ――その中でのストレスや苦になる作業は何ですか。 なかなかいい企画や提案が思いつかないとき。相手がニーズをたくさん教えてくれることがあるけど、逆にそれにばっちりとフィットしたものを考え出すのは苦しい。なかなか思いつかないと、それこそ夢で見ることもあります。
――学生と社会人の違いは何でしょうか。 責任感が違う。責任を感じると、人間は育とうとする。時間もお金も惜しまず、ビジネススキルを身に付けようとする。上司によるかもしれませんがね。自分の場合は、会社員だった時、いきなりこんなことまでやらせるの、ということをやらせてもらっていた。責任感が芽生え始めると、それに向かって前向きに進んでいきます。インターンシップを見ていても、責任を与えれば、全然変わる。見ていて嬉しいですし、人間はそういうものだと思います。だから学生の皆さんも、責任を与えられることをマイナスと思うのではなく、プラスと考えて欲しいです。
――辛くても留まれるのはなぜでしょうか。 やり遂げたいと思うパッションがあるのですよ!!人生ビジョンなんです。趣味は仕事なんですよ。仕掛けるのが趣味。これからのニーズとやりたいことがマッチしたのですかね。だから仕事になっている。
私の場合、仕事は生活そのものです。少しでも社会を変えられたと実感したい。私と関わって、「初めて環境に興味を持った」と言う人たちを100万人作りたい。あと、環境をテーマに起業する人たちを増やしたいですね。
――学生へのアドバイスを。 いきなり環境セクションに入れません。思い通りのジャンルに就くなんてムリです。どうしてもやりたいならベンチャーなり、別なことを考えないといけない。
たとえ会社に入ったところで、それが人事・経理・庶務かもしれませんが、その中で「企画」という概念がある。何にでも環境というアプローチができやすい時代が来ていますので、是非配属先が違ってもめげずに、何かができるように、たゆまぬ情報収集や学生時代にもネットワークを磨いておいて欲しいと思いますね。
――ありがとうございました。 鈴木 敦子 氏
学習院大法卒。専門分野は、主として環境コミュニケーション、エコプロダクツ開発、環境マネジメント 、環境マーケッティング。 大学時代に環境サークルを設立、環境問題に関心を持つ。サブゼミとして二年間研究を行う中で 『環境の仕事』 を選択。
1992年4月 大手製紙会社に総合職として就職。その後環境コンサルティング企業などを経て、独立。 在職中は環境管理・対策に関わる情報公開業務から、近隣住民向け説明会、投資家・アナリスト向けスモールミーティング等の企画、運営により、さまざまな角度から環境コミュニケーションを実践。
現在は、市民の環境ニーズと企業の環境保全活動、ビジネス・シーズとの融合に取り組んでいる。 2003年12月よりエコロジカルスタンド鰍フ設立に参加し取締役就任。 環境マーケット開拓を得意領域とし環境新規事業創造、環境ビジネス発信を主として行う。 ビジネス分野ではリサイクル、リユースの分野に積極的に取組んでいる。
2004年1月よりNPO法人環境リレーションズ研究所を立ち上げ理事長就任。 2005年6月エコロジカルスタンド椛纒\取締役就任。 2005年8月エコロジカルスタンド鰍辞職し、2005年9月滑ツ境ビジネスエージェンシーを設立し、代表取締役就任。
最近では、環境省環境ビジネスウィメン懇談会メンバーとして日経BPより「環境ビジネスウィメン」を共著出版。 書籍のプロモーション担当を契機に、同懇談会における環境ビジネスベンチャー輩出のための企画立案に奔走中。
NPO法人環境リレーションズ研究所では インターン生を募集中!
詳しくは、こちらから。
*この記事は、2005年に学生NGOエコ・リーグ(全国青年環境連盟)の機関紙「ECOLEAGUER」に連載されているものです。
第1回:「環境部のお仕事をしてみる。」
第2回:「シンクタンクのお仕事をしてみる。」
第3回:「コンサルティングのお仕事をしてみる。」(上)
第4回:「コンサルティングのお仕事をしてみる。」(下)
第5回:「特別編〜やりたいことが分からなくなった〜」
第6回:「環境教育のお仕事をしてみる。」
第7回:「女性環境起業家にインタビュー」
第8回:「環境省のお仕事をしてみる。」
第9回:「環境就職の「不安」を考える。」
第10回:「即戦力とは何かを考える。」
第11回:「専門知識は重要か?」
第12回:「農業のお仕事をしてみる」
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第13回:「就職活動の棚卸し」
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*この記事は、青年環境NPOエコ・リーグ(全国青年環境連盟)の機関紙「ECOLEAGUER」に連載されているものです。
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