環境就職がわかる!・連載よみもの えこわーくトリビア〜素晴らしき環境就職〜第6回:「環境教育のお仕事をしてみる。」
執筆:エコ・リーグ キャリアサポート部長 小林功英 ■「それはいったい、どこでできるのか」環境問題の解決には、人間一人一人の意識改革が必要だ。それには、早期からの教育がかかせない――そういう想いで、環境教育に感心を持ち、それを仕事にしたい、と考えている就活生も多いのではないか。しかし、次の疑問が、皆を悩ませている。
「それはいったい、どこでできるのか。」 ■市場は過渡期 現在、「事業」として環境教育活動を行っている組織はまだわずかであり、独立採算により経営が成り立っているものは、さらに少ないのが実情である。多くの事業は、行政や企業の「持ち出し」によって行われており、参加費で直接経費がまかなわれているものでも、事務局の運営費や職員の人件費については別に確保されているものが大部分。「事業」としては人件費相当分まで含め採算が取れている場合でも、個々の事業を永続的に実施していく「組織」の経営としてみた場合は、これに加えて新たなプログラムの開発や職員の昇給・昇格、後継者育成のための経費が必要となってくる。例えば、「自然学校業界」は、調査によれば全国で2000はあると言われているが、大半が、年間100万円の売上であるから、まだまだ小さい。専任スタッフを抱えている団体も、数えるほどしかない。
このことについて、環境教育を仕事にしている職員は次のように述べている。 「環境教育は、まだ過渡期で「市場そのもの」を作っているので、自分で市場を作る起業家的な想いがないとやっていけないかも。自分が「こういうNPOが欲しい」と思ったら、自分が組織を変えるとか、創る気持ちがないと、やっていけない分野なのかなと思います。(NGO職員/環境教育担当)」
●環境教育な一日 ところで、環境教育の仕事とは具体的に何をするのだろうか。環境NGOに限定すると、一言で言えば、現場で研修会等を開くことである。実際に環境教育担当者のある一日を伺ってみた。
・研修がないオフシーズン 「10時30分くらいにオフィスに来て、まずはメールチェック。その後は、ひたすら資料作りとか打ち合わせですね。作業として見ても、メールで誰かと調整、相談をしている時間が一番長い。その次に、会議や打ち合わせ。資料作成や書類作成は、その次ですね。お昼ごはんは2時から3時の間。夜ご飯は、家、またはあるモノを食べる感じです。仕事の内容は、1日中来客がある日もあれば、データをひたすらまとめている日もありますね。およその退社時間は、平均すると9時くらい。」
・研修の日程中 「初日の10時くらいに集合します。野外実習時には、講師をやっています。フリータイムの時に、資料やパワポの準備、講師との打ち合わせをしています。夜ご飯は、参加者と一緒に食べ、情報交換を行う。その後は、懇親会があって、夜は反省会。寝るのは、だいたい1時くらいかな。朝は、6時くらいから起きています。午前中の講師と最終打ち合わせをして、昼食はまた参加者と一緒に食べる。午後の実習は再び講師をやることもありますし、他の講師の講義中は、販売物の売り子もやります。全体として、司会進行役もやっています。終わったら、片付けて、その場で反省会ですね。最終的に終了するのは、午後3時くらいでしょうか。」
要するに、研修会の成功に向けて、ひたすら「何でもやる」のだ。 ■環境教育に向いている適性 そんな環境教育職員に向いている適性は何であろうか。まず、楽天的であることがあげられる。それから、自己管理ができること。特に、ストレスを感じたときにどう対処ができるかが重要なポイントである。それから、理系でも文系でも、論理的な思考力とコミュニケーション力、特に、自然を「自分の言葉で説明・表現できること」が求められる。
■で、どうやったらなれるのか それでは、最も関心のある事項、つまり、職員になるにはどうしたらいいのか。実は、狭き門である環境教育組織に共通した条件がある。それは、研修生になることだ。ほとんどの団体において、まずは研修生として登録される。その後、半年から一年の研修を経て審査され、晴れて正職員となれる。
学生が、今からできることと言えば、ボランティアとして、それら組織に関わることだ。ボランティアができる組織はたくさんあるし、うまくいけば仕事に繋がるかもしれない。ある職員は、「時間ないとか、もう少し勉強して、ということでしたら、一生で来ませんよ」と言う。「友達でもいいし、通りすがりの人でもいい。そういう人と何かをする、自分が動き出すことこそが、世の中を変えるきっかけなんです。で、やってみれば返ってくるものもあるし、じゃあ次はこうしてみようかなと、そういうことの繰り返しです」。これは、環境教育に限らず、全てのことに言える。
とにかく現場に出ることである。勉強じゃなくて、現場に行くことが重要である。「インタープリターをやりたいけど経験がつめない、だから仕事がない」ということを言う人も中にはいるようだが、ボランティアでも現場に出れば、結局そこで知識とか経験をタダで教えてもらえることになる。これは、環境教育に携わる社会人全員から学生への、共通したメッセージだ。
最後に、ある職員の言葉を引用したい。「環境教育は、環境問題の解決ではなく、人間の問題の解決ですから、人間・社会にどうアプローチをしていくか、社会変革をどうやっていくか、ということを、面倒くさいけど、一人一人に働きかけていくしかないのです。」
*この記事は、2005年に学生NGOエコ・リーグ(全国青年環境連盟)の機関紙「ECOLEAGUER」に連載されているものです。
第1回:「環境部のお仕事をしてみる。」
第2回:「シンクタンクのお仕事をしてみる。」
第3回:「コンサルティングのお仕事をしてみる。」(上)
第4回:「コンサルティングのお仕事をしてみる。」(下)
第5回:「特別編〜やりたいことが分からなくなった〜」
第6回:「環境教育のお仕事をしてみる。」
第7回:「女性環境起業家にインタビュー」
第8回:「環境省のお仕事をしてみる。」
第9回:「環境就職の「不安」を考える。」
第10回:「即戦力とは何かを考える。」
第11回:「専門知識は重要か?」
第12回:「農業のお仕事をしてみる」
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第13回:「就職活動の棚卸し」
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*この記事は、青年環境NPOエコ・リーグ(全国青年環境連盟)の機関紙「ECOLEAGUER」に連載されているものです。
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