環境就職がわかる!・連載よみもの
えこわーくトリビア〜素晴らしき環境就職〜

第2回:「シンクタンクのお仕事をしてみる。」

執筆:エコ・リーグ キャリアサポート部長 小林功英

■環境政策の立案

 (「ドラえもん」の歌で)「♪廃棄物をしっかり、リサイクルしたいな」
「はい、リサイクル法!」

 環境問題をやっていると、一度は政治や法律にケチを付けたくなるものである。こんな法律があれば・・・あんな規制がなければ・・・。そうやって、仕事として環境政策に携わろうとする学生も多いのではないだろうか。

 さて、実際の政策は、「こんな法律が欲しい」といっても、ドラえもんのポケットのように簡単に出てくるものではない。立法過程(閣法の場合)をざっと見ても、まずは中央官庁にて政策の方針が策定され、関連省庁との折衝や族議員などへの根回し、それから政権与党それぞれで、関係部会、政策調査会、総務会などで審議され、与党協議(今は自民党と公明党の間で)をした上で、閣議決定。そして、国会に諮られることになる。(ただし、小泉内閣では必ずしも上記の過程を経ないことが多い)

「政策を立案したい」、「法律を作りたい」と言った場合、どの部分でどのように関わりたいのかをはっきりさせなければならない。

■政策の頭脳集団

 政策の方針や法律の原案を作成する中央官庁では、まずは審議会において審議される。環境省では、「中央環境審議会」、経済産業省では、「産業構造審議会」などである。この審議会の審議のたたき台として作成される資料やリサーチを一定に引き受けているのが「シンクタンク(総合研究所等)」である。委託研究、審議会事務局の運営、パブリックコメントの調査などを手がける。

 シンクタンクは、通常「頭脳集団」と説明されるが、分かりやすく言えば、「政策に関する研究を徹底的に行い、代替案になり得る政策提言を行う組織」である。ただし、その活動領域や機能は多様化しており、環境のほかにも経済・産業分析、企業向けコンサルティング、官公庁からの調査研究など、実に多岐にわたる。また、地方自治体をクライアントとするシンクタンクも多い。

■具体的にはどんな仕事をしているの

大手総研で働く数名の社員に、「普段の作業の多い順」からあげてもらった。

 人により差はあるものの、「社内会議」「社外会議」「プレゼン資料作成」「営業」等が多い。おおよその一日のスケジュールも、日中は、メール対応や社内外会議など外部への対応が主で、夜になってから資料作成を行い、忙しい時は午前様となってしまう。

 1年のスパンで見ると、自治体がクライアントの場合、4〜7月までは、委託事業の企画営業で、納期は年度末になる。だから年度末は、同時に10本(!)の案件を抱える事もあり、多忙を極めることになる。30代になると転職が増える理由も、一つには体力が持たない、ということがあげられるようだ。

シンクタンク(ここでは大手総研)では、収入の内訳を見ると受託研究が全体の8割を占めている。受託研究とは、クライアントからの決められたテーマについてその内容を立証したり、具体的な方向性を提案する研究のこと。これを紙にまとめて、おカネをもらうのだ。

受託研究の具体的な流れ(一例):
「まずは、「これを調べて欲しい」という話がクライエントからあります。そのテーマについて、インターネット等でリサーチをします。より具体的なデータについては、関係する業界団体に問い合わせて統計資料をもらったり、関係者にヒアリングをしたり、現地調査などをします。データがある程度そろったら、それを考えながらまとめて行きます。まとめながら、足りないデータがあれば、また収集しに行きます。それを繰り返しながら、中間報告を作ります。クライエントと話しながら、さらにまとめて「最終報告」を提出します。これはプレゼンテーションではなく、文字媒体の報告書になります。だから、ほとんどの時間を机の前で過ごしています」(大手総研研究員)

■で、採用はどうなのか

 老舗の某大手総合研究所では、採用の8割が理工系修士だそうだ。理由は、技術が理解できる、ということもあるが、「仮説・論理構築力」「調査研究力」等が身についているから。専門知識が必要だと思っている学生も多いが、修士が採られる本当の理由はそこではない。新しい知識は常に必要となるし、入社しても十分な研修などはないので、すぐに調査研究を行える即戦力となれる人でないとダメだからだ。

 ただし、優れた政策を示すための条件として、論理的思考力や分析力を養うことも重要であるが、「一般教養を充実させ、"世の中がどうあるべきか""人としてどう生きるべきか"といった理念を語れる素地をつくること」とする意見もある。

 いずれにしても、体力的にも精神的にもきつい仕事であることは覚悟した方がいい。

■先輩からのアドバイス

 「まず、第一に好奇心が必要です。幅広く色々な切り口に携わるので、何か一つに夢中になる人には向いていないかもしれません。また、時期によっては膨大な量の仕事をこなさなければならないので、体力がないと務まりません。それと、学生のときのように、自分の関心のあることしかやらなくていい、というわけではありません。時には、クライアントのニーズに合わせなきゃいけなかったり、批判ができなかったり。」

「総研マンの理想は、「あるべき論」を言える人です。それも、無責任に言いっぱなしの、「夢想家」ではなく、責任を持って現実的なことができる「理想家」。仕事も、まずは「あるべき論」を唱えて、人を集めてこなければなりません。社会をどうしたいのか、自分の想いを持ってください。」

「環境の分野では特に「未来」をどう描くかが問われます。知識+創造力、それと周りの人がどんな幸福を望んでいるのかを日々追求できる、そんな人におすすめの分野です。」


第1回:「環境部のお仕事をしてみる。」

第2回:「シンクタンクのお仕事をしてみる。」

第3回:「コンサルティングのお仕事をしてみる。」(上)

第4回:「コンサルティングのお仕事をしてみる。」(下)

第5回:「特別編〜やりたいことが分からなくなった〜」

第6回:「環境教育のお仕事をしてみる。」

第7回:「女性環境起業家にインタビュー」

第8回:「環境省のお仕事をしてみる。」

第9回:「環境就職の「不安」を考える。」

第10回:「即戦力とは何かを考える。」

第11回:「専門知識は重要か?」

第12回:「農業のお仕事をしてみる」 NEW!

第13回:「就職活動の棚卸し」 NEW!

 

*この記事は、青年環境NPOエコ・リーグ(全国青年環境連盟)の機関紙「ECOLEAGUER」に連載されているものです。



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