環境就職がわかる!・連載よみもの
えこわーくトリビア〜素晴らしき環境就職〜

第10回:「即戦力とは何かを考える」

執筆:エコ・リーグ キャリアサポート部長 小林功英  

 最近では、就職活動生に求められるスキルとして、「社会人基礎力」という言葉がよく登場する。経済産業省では、これを構成する主要能力として「前に踏み出す力(アクション)」、「考え抜く力(シンキング)」、「チームで働く力(チームワーク)」の3つの要素を特定している。まさに、「人間力」であり、社会人というより、人間として身につけておくべき力といえる。
エコ・リーグでも、「環境」就職・進路相談会2005の東京会場において、社会人カウンセラー50名に「即戦力とは何ですか」という質問をしてみた。その結果をまとめ、分析をしてみると、やはり社会人基礎力と同じようなことを言っているようにもみえる。学生は、とかく「専門知識が必要。教養科目等はやっても意味がない」と考えがちだが、全くの誤解だということを強く伝えたい。相談会の報告書にも掲載したが、改めて学生の皆さんにはじっくりと読んで欲しいと思う。

■社会人から見た「即戦力」とは?

 ●「環境」就職・進路相談会2005東京会場 カウンセラーへのアンケート「即戦力とは何ですか」への回答を5つにカテゴリ分けした結果について

 (1)自分の心構え
 自分自身の社会人としての心構えに関するもの。情熱、意欲、前向きさ、ポジティブシンキングなどがある。仕事を「単なるカネを稼ぐ手段」として考えるのではなく、また、「つまらない」と思いがちな作業でも、自分のやり方次第で面白くする、という仕事への熱心で前向きな姿勢が重要である。

 また、チャレンジ精神や自主性など、「指示待ち」をするのではなく、自らが積極的に行動し、企画を提案すること等を求めている。そして、忍耐力、粘り強さ、くじけない心、失敗したり叱られてもメゲない「メンタル・タフネス」が必要である。


 (2)他者への心構え
 社会に出てからの他人に対する心構えに関するもの。「やりたいことをやりたい」、「早く成果をあげたい」などの理由で、他人への配慮や気配り、礼儀、優しさを忘れることがあってはならない、ということだ。「自分だけが得すればいい」とか「自分だけが儲かればいい」という精神は、特に環境の仕事を目指す人にとっては、レッドカードといえる。

 まずは「会社の仕事を一つずつ丁寧に覚えよう」という謙虚な気持ちと、一つ一つの仕事について、分からなければ素直に先輩や上司に聞く姿勢が重要である。一般論で「こうするべき!」と正論を主張するのではなく、それぞれの組織には、それぞれの仕事の仕方と決め事があるため、まずはそれを覚えなさい、ということだ。


 (3)自分に対して必要なスキル
 自分自身に対する、身につけておくべき能力に関するもの。「専門知識が必要である」と書いた社会人は一人もいなかった。その代わりに、自己管理や体力、継続的な学習力など「自らを律する力」を挙げた社会人が多かった。また、特に環境の仕事をしたいと考えている人に必要なのは、環境だけではない、多面的な視点、バランス感覚などである。「環境問題がなぜ起きるか」は、まさに環境の視点が必要であるが、その解決や手段については、国際問題や政治・経済など「環境以外の視点」が必要になるからである。また、環境問題の解決においてもっとも難しいのは、解決方法やアイディアを考え出すことではなく、「いかに人を説得し、調整していくか」ということでもあり、それは知識や正論だけではなし得ない。

 更に、問題発見力、論理的思考力、情報収集・分析力など、知識社会において重要なスキルを挙げた方が多くみられた。こうした知識ではなく、「智慧(ちえ)」に関するスキルは、現場の中で磨かれていくものであり、本を読んだり大学で習って身につくものではない。


 (4)他者に対して必要なスキル
 他人に接する際に身につけておくべき能力に関するもの。ビジネスマナーや社会的な常識は言うまでもない。他者に対して迷惑をかけない、というのが仕事においての基本中の基本だ。加えて、自分の考えを相手に正確に伝え、相手を説得するプレゼンテーション力、逆に正確に聴く「傾聴力」も重要で、これらをひっくるめて「コミュニケーション力」と呼べる。よく聞く能力である。
 また、様々なプレイヤーが関わってくるのが環境の仕事の特徴でもあるので、コーディネートや利害調整力も必要になる。


 (5)全てのカテゴリに関係する能力は
 これら全てに関係する能力は、実行力、実現力、行動力、好奇心などである。まずは積極的に全てのことを吸収しようという姿勢、どんな困難があってもゴールまでたどり着く「実現力」は、「何かの能力や心構えがあればいい」というより、その人の志の高さが決め手となるであろう。別な言葉で言えば、目的意識と覚悟。一方で、間違えたと感じたら、素直に認め考えを修正する柔軟性も非常に重要である。

 最後に、何度も指摘をするが、社会人は、新卒の社会人に、「専門知識」や「資格」を求めてはいない。そして、これらの能力は日ごろの意識次第で磨くことができる。また、他者への心構えやスキルは、文字通り、様々なヒトと関わることにより磨かれていくといえる。是非、これらのことを意識してみて欲しい。

*この記事は、2005年に学生NGOエコ・リーグ(全国青年環境連盟)の機関紙「ECOLEAGUER」に連載されているものです。


第1回:「環境部のお仕事をしてみる。」

第2回:「シンクタンクのお仕事をしてみる。」

第3回:「コンサルティングのお仕事をしてみる。」(上)

第4回:「コンサルティングのお仕事をしてみる。」(下)

第5回:「特別編〜やりたいことが分からなくなった〜」

第6回:「環境教育のお仕事をしてみる。」

第7回:「女性環境起業家にインタビュー」

第8回:「環境省のお仕事をしてみる。」

第9回:「環境就職の「不安」を考える。」

第10回:「即戦力とは何かを考える。」

第11回:「専門知識は重要か?」

第12回:「農業のお仕事をしてみる」 NEW!

第13回:「就職活動の棚卸し」 NEW!

 

*この記事は、青年環境NPOエコ・リーグ(全国青年環境連盟)の機関紙「ECOLEAGUER」に連載されているものです。



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